前回のおさらい
前回は、「しびれ」について学びました。
- しびれには「感覚障害」と「運動麻痺」がある
- 正座のしびれは、神経の圧迫による一時的なもの
- ビリビリする感覚は、神経が回復する過程で起こる痛み
- 突然の強いしびれや長く続くしびれは要注意
今回は、しびれを引き起こす病気と、痛みをもっと広い視点で見た「全人的苦痛(トータルペイン)」について学びます。
しびれが起こる病気
しびれには、さまざまな原因があります。大きく「末梢神経の問題」と「中枢神経の問題」の2つに分けられます。
代表的な病気
手根管症候群 手首の中にある神経が圧迫されることで、手や指にしびれや痛みが起こります。パソコン作業や家事が多い方に多く見られます。
糖尿病性神経障害 血糖値が高い状態が続くと、神経がダメージを受けます。足先のしびれや感覚の低下が特徴です。
腰部椎間板ヘルニア・腰部脊椎管狭窄症 腰の骨や軟骨が神経を圧迫することで、足のしびれや痛みが起こります。歩くと足が痛くなる方に多い病気です。
末梢神経と中枢神経の違い
しびれは、どの神経に問題があるかによって、症状や原因が変わります。
末梢神経とは、手足など体の末端にある神経のことです。手根管症候群や糖尿病性神経障害など、局所的なしびれが起きやすいのが特徴です。
中枢神経とは、脳や脊髄のことです。脳卒中や脊髄の病気が原因となることがあり、広い範囲に症状が出ることもあります。
しびれが続くときは、どちらの神経に問題があるかを調べることが大切です。
全人的苦痛(トータルペイン)とは?
「痛み」というと、体の痛みだけを思い浮かべがちです。しかし、人間の苦しみはそれだけではありません。
**全人的苦痛(トータルペイン)**とは、人が感じるさまざまな苦しみを4つの側面からとらえた考え方です。
4つの苦痛
① 身体的苦痛
すべての痛み・吐き気・かゆみなど、体に直接感じる苦しみです。しびれや痛みはここに含まれます。
② 社会的苦痛
仕事や家事ができなくなる、収入が減る、人間関係が変わるなど、病気によって生活や社会とのつながりが変わってしまう苦しみです。
③ 精神的苦痛
「これからどうなるんだろう」という不安や恐怖、落ち込み、孤独感など、心の苦しみです。
④ スピリチュアルペイン
「死後はどこにいくのだろう」「バチが当たって病気になった」など、言葉にしにくい、魂や心の深いところにある苦しみです。
なぜトータルペインを知ることが大切なの?
体の痛みを和らげるだけでは、本当の意味で楽になれないことがあります。
たとえば、痛みが和らいでも「仕事ができない」「家族に迷惑をかけている」という思いがあれば、苦しさは続きます。
4つの苦痛はお互いに影響し合っています。一つの苦痛が他の苦痛を悪化させることもあれば、一つが楽になると他も楽になることもあります。
まとめ
今回の重要なポイントをまとめます。
- しびれの原因は「末梢神経」と「中枢神経」の問題に分けられる
- 代表的な病気に手根管症候群・糖尿病性神経障害・椎間板ヘルニアなどがある
- 人の苦しみは「身体・社会・精神・スピリチュアル」の4つの側面がある
- 4つの苦痛はつながっており、全体的にケアすることが大切
体の痛みだけでなく、心や生活の苦しみにも目を向けること。それが、本当の意味での「痛みのケア」につながります。
気になる症状がある方は、ひとりで抱え込まず、まず医療機関へ相談してみてください。

