引き続き「痛み」についてお話ししていきます。
前回のおさらい
前回は、天候や気圧の変化が痛みに与える影響について学びました。
- 気圧の低下が体内の圧力バランスを崩し、痛みを引き起こす
- 三半規管が気圧変化を感知し、自律神経を刺激している
- 酔い止め薬が効果的な場合もある
今回は、私たちの感覚における「慣れ」の現象と、痛みとの関係について見ていきましょう。
私たちの感覚と「慣れ」
触覚の慣れ
日常生活でよく経験する「慣れ」の現象があります。
服を着るとき
- 最初は衣類の布の感触をはっきりと感じる
- しかし、着用後しばらくすると感触を意識しなくなる
- 常に感じているわけではない
これは、私たちの脳が「重要でない刺激」を自動的にフィルタリングしているからです。
嗅覚の慣れ
嗅覚は特に慣れやすい感覚として知られています。
においと慣れ
- 同じ場所にしばらくいると、そこの匂いを感じなくなる
- 自分の家の匂いには気づかないのに、他人の家の匂いは気になる
- これも脳が「不変の刺激」を背景情報として処理するため
痛みと慣れの複雑な関係
痛みは慣れてはいけない?
ここで疑問が生まれます。
痛みの本質的な役割
- 痛みは体の警告サイン
- 危険を知らせる重要な機能
- 慣れてしまっては困るのでは?
侵害受容性疼痛と慣れ
実は、痛みにも慣れの現象があるとする説があります。
侵害受容性疼痛の場合
- 組織の損傷による明確な痛み
- ある程度の慣れの現象が起こる可能性がある
- 痛みの強さの感じ方が変化することがある
内臓痛には慣れが起こらない
一方で、内臓痛には異なる特徴があります。
内臓痛の特徴
- 痛む場所が不明瞭
- 鈍い痛みが続く
- 慣れの現象は起こらないといわれている
これは、内臓の異常を見逃さないための体の防御機構だと考えられています。
「痛みがある状態」への慣れ
痛みそのものと、痛みのある生活
重要な区別があります。
痛み自体への慣れ
- 完全に慣れることは難しい
- 特に内臓痛や神経痛には慣れにくい
痛みがある状態への適応
- 痛みと共に生活することには慣れることができる
- 心理的な受け入れが重要
痛みを受け入れるための条件
痛みを受け入れやすくなる要素があります。
理解と希望
- 痛みの原因がわかっている
- 治癒の経過が理解できている
- 希望が持てる未来がある
これらの条件が揃えば、多少の痛みなら受け入れることができるようになります。
痛みとの向き合い方
自分の状態を理解する
大切なこと
- 痛みの原因を正しく知る
- 治療の経過を理解する
- 医療者とコミュニケーションを取る
痛みの意味を考える
痛みから学ぶ
- 体が何を伝えようとしているのか
- どんな対処が必要なのか
- 生活習慣の見直しが必要か
前向きな姿勢を持つ
心の持ち方
- 痛みを敵視するだけでなく、体からのメッセージとして受け止める
- 回復への道筋を信じる
- 小さな改善を喜ぶ
まとめ
触覚や嗅覚には慣れの現象がありますが、痛みとの関係は複雑です。
重要なポイント
- 侵害受容性疼痛には慣れの現象があるとする説もある
- 内臓痛など不明瞭な痛みには慣れが起こりにくい
- 「痛みがある状態」への適応は可能
- 原因の理解と希望が痛みの受け入れを助ける
- 自分の状態や痛みの意味をしっかり理解することが大切
重要な注意点
慢性的な痛みや原因不明の痛みが続く場合は、「慣れ」で済ませず、必ず医療機関を受診してください。適切な診断と治療を受けることで、痛みの原因が明らかになり、より効果的な対処法が見つかる可能性があります。痛みと上手に付き合うためには、まず正しく理解することが第一歩です。

