引き続き「痛み」についてお話ししていきます。
前回のおさらい
前回は、痛みに対する温度の影響と、冷やす・温めるという対処法について学びました。
急性の痛みは冷やす – 炎症を抑え、痛みの伝達を遅くする効果
慢性の痛みは温める – 血流を改善し、筋肉の緊張をほぐす効果
今回は、痛みに大きく関わる自律神経について詳しく見ていきましょう。
自律神経とは?
全身の臓器の働きは、自律神経が無意識のうちに調節してくれています。心臓の拍動、呼吸、消化、体温調節など、私たちが意識しなくても生命維持に必要な機能をコントロールしているのが自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、原則として全身の臓器はその両方に支配されています。
交感神経(アクセルの役割)
起床時、活動時、緊張時、ストレス時など
心拍数を上げる
血圧を上昇させる
筋肉を緊張させる
痛みに対する感受性を高める
副交感神経(ブレーキの役割)
就寝時、休息時、リラックス時など
心拍数を下げる
血圧を低下させる
筋肉をリラックスさせる
痛みを和らげる
喧嘩のときを想像してみよう
交感神経は「戦闘や逃走への反応」とよくいわれます。喧嘩しているときに人がどうなるか考えるとわかりやすいでしょう。
喧嘩や危険な状況に遭遇したとき、私たちの体では以下のような変化が起こります:
心臓がドキドキする(心拍数の増加)
呼吸が荒くなる(酸素供給の増加)
筋肉が硬くなる(いつでも行動できるよう準備)
汗をかく(体温調節の準備)
血圧が上がる(血流の確保)
これらはすべて交感神経が働いている証拠です。体が「戦うか逃げるか」の準備をしているのです。
自律神経と痛みの深い関係
ストレスが痛みを増強する仕組み
現代社会では、実際の喧嘩や生命の危険に遭遇することは少ないものの、仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなど、様々なストレスにより交感神経が過度に働くことがあります。
交感神経優位の状態が続くと:
筋肉の緊張が慢性化
血流が悪くなる
痛みを感じやすくなる
炎症が長引きやすくなる
痛みが自律神経に与える影響
逆に、慢性的な痛みも自律神経のバランスを崩します。
慢性痛により:
常にストレス状態となり交感神経が優位に
睡眠の質が低下
副交感神経が働きにくくなる
さらに痛みが増強される悪循環
自律神経を整えて痛みを軽減する方法
副交感神経を優位にするための実践法
深呼吸法
4秒で息を吸い、8秒で息を吐く
腹式呼吸を心がける
1日数回、意識的に行う
リラックス環境の整備
適度な室温(22-26度)
柔らかい照明
心地よい音楽や自然音
規則正しい生活リズム
決まった時間に就寝・起床
質の良い睡眠を確保
バランスの取れた食事
軽い運動の習慣
ウォーキングやストレッチ
ヨガや太極拳
激し過ぎない適度な運動
温度療法と自律神経の関係
前回学んだ温度療法も、実は自律神経と深く関わっています。
温める効果と副交感神経
温かさはリラックス効果をもたらす
副交感神経が優位になる
血流が改善し、筋肉の緊張が和らぐ
慢性痛の軽減に効果的
冷やす効果と交感神経
冷刺激は一時的に交感神経を刺激
その後、痛みの伝達を遅くする
急性の炎症や痛みに効果的
日常生活での自律神経ケア
ストレスサインに気づく
以下の症状があるときは、交感神経が過度に働いている可能性があります:
肩こりや首の痛みが増している
眠りが浅い、寝つきが悪い
食欲がない、胃の調子が悪い
イライラしやすい
疲れが取れない
簡単にできる自律神経調整法
朝のルーティン
起床後、カーテンを開けて太陽光を浴びる
軽いストレッチを行う
深呼吸を数回行う
日中の工夫
デスクワーク中は定期的に立ち上がる
肩甲骨を動かすストレッチ
温かい飲み物でリラックス
夜のケア
入浴で体を温める(38-40度のお湯に15-20分)
スマートフォンやパソコンの使用を控える
読書や軽い音楽でリラックス
まとめ
自律神経は痛みと密接な関係があり、そのバランスを整えることで痛みの軽減につながります。
重要なポイント:
交感神経優位の状態は痛みを増強させる
副交感神経を優位にすることで痛みが和らぐ
温度療法は自律神経を通じて痛みに作用する
日常生活の工夫で自律神経のバランスは改善できる
重要な注意点
痛みが続く場合や、自律神経の症状が改善しない場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。個人の症状や体質によって適切な対処法は異なる場合があることをご理解ください。